ロッチの奥歯を噛んだ
良い芝居。
良い作品。
『今回はすごいぜ!』『めちゃくちゃ面白い、』『全米が泣いた!』『興行収益第一位!』。
様々な謳い文句はあれど、その定義というのは、はっきりしない。
それはひとえに、個人の。貴方の。それぞれの。感受性ゆえだ。
貴方にとっての名作は、他人にとっての駄作になり得る。
不朽の名作でさえ、人によっては酷評するのだから。
ただ一つ。どんな作品でも不変なものがあるんだ。
クリエイターの気持ちだ。
造り手の誰しもが思うハズなんだ。
もっとこれ以上を。もっと楽しいものを。もっと心揺さぶる、なにかを。と。
しかしそれが大多数に評価されなければ、食っていけないのがこの業界さ。
それがたまらなく苦しく、つい奥歯を噛んでしまう。どれだけの人が、そのジレンマに耐えきれず、涙を飲んだんだろうか。
正直言おうか。
エイトビートはさ。
俺もさ。
まだ激烈に売れちゃあいないのさ。
それでも奥歯を噛みしめ、今俺たちは、過去最高の作品へ向けて、足を運んでいる。
例え自分が信じられなくても。横を向けば信じられる7人がいる。後ろを向けば、数えきれないほどの関わってくれた人がいる。
自分がどうこうじゃない。
月並みだが、一人ではない。
良い芝居。良い作品。
観てくれた方にとって、名作にも駄作にもなるんだろう。
それでも願わずにはいられない。
これだけの仲間が揃って。心血注いだ作品に意味がないのだとしたら。俺が役者をやる意味はない。
エイトビート第2弾公演『BIRDMEN』。
日常生活。貴方も苦しい瞬間があるだろう?今の社会の体制上、奥歯を噛む瞬間があるだろう?
そんな『普通の人』である貴方にこそ。観ていただきたいのです。
同じように奥歯を噛みしめ、心血注いだこの作品を。
エイトビート公演『BIRDMEN』。
もうすぐです。
8のつく日担当 ロッチ