俺のこだわり ~戦争とハゲと蝉の抜け殻~
今日は祖母の93歳のお誕生日会でした。
良い酒!良い食!そして良い日!
にしても、93って………すごいなぁ。
めちゃくちゃ元気なんすよ、うちの祖母。
歯は全部自前だし、毎日晩酌はするし、山の畑行ったら1日帰ってこないし。
勿論戦時中の経験もある。それに第五福竜丸事件についてもバッチリ記憶にあるようでした。
今度改めてゆっくり当時のお話を聞きたいと思います。
BIRDMENを行う時にも思いましたが、当時のお話を生で聞かせてくれる方というのは、もう本当に少ない。
あと10年もしたら出兵経験のある方は一人も居なくなってしまうんじゃないでしょうか。
当時戦争をし、そしてその戦争を放棄する事を選んだ人達が、誰一人として居なくなってしまう。
戦争という言葉が、より『過去』になってしまうような気がする。
その時一体何が起こるのでしょう。
やっぱり良い想像が出来ないんですよ。
例えば大正時代に起きた事件に対して、どのくらい知っていますか?その過去の事件を知ったとして、その事件の当時の重要性や、関係者の方々への感情移入など、今の自分と置き換えた上で考えられますか?
俺は自信がありません。
何故ならそれは歴史の1つであり、教科書で勉強するものの1つであり、自分からは程遠い事。と片付けてしまうからです。
戦争もそうなってしまうんじゃないか。
ついそう思ってしまいます。
こんな時だからこそ、演劇をやりたいですね。
自分なりに知る努力をし、考えて、それをどう未来に繋げていくのか。
戦争を知らない俺たちが、戦争を知らない人たちに出来る事はあるのか。
というか、戦争だけに限った話じゃないですね。
戦争に限らず、過去にあった出来事を、少しでも輝く未来の為に真剣に考える。
それを繋ぐバトンの役割を、演劇は出来ると思っています。
ほんの少しですけどね。
と、少し祖母と話して思いました。
そんな中ふと宴会のテーブルを見てみると、親戚の子どもが取ってきたであろう蝉の抜け殻がありました。
俺の父がつるっつるの頭にくっつけて、落ちるかどうかの検証をしていました。
バッチリくっついてました。
虫の力ってすごいですね。
おばあちゃんもそれを見て笑っていました。
当時本当にたくさんの死に直面した祖母が、孫、曾孫に囲まれ、ハゲと蝉の抜け殻を見て笑っています。
今の時代がこれ以上ないくらい良い!という訳ではありません。問題は山積みです。
ですが、紛れもない平和がきっとそこにはありました。
こんな時間がたくさんの人に。そしてなるべく多くの時間に。もたらされると良いですね。
なんだか、ハゲを少し受け入れられそうな気になりました。
という訳で今日のこだわりは「ハゲ(運命)を受け入れる」という事にしましょうか。
格好いい父親です。
運命を受け入れる男 スグロ