刃を研ぐ
この間東京の、いわゆる下町と呼ばれる地域に訪れる機会があった。下町の定義はよく分からんので、もしかしたら下町では無いのかもだけど………。
僕の中では、スカイツリーがある程度おっきく見えたら、そこはもう『下町』なのです。
にしても、スカイツリーは大きい。というか、高い。
必然的に顔をあげ、天を仰ぎ、見上げる形になる。下町近辺は高い建物が少ないので、ふとした拍子に視界に入る。
コンクリートジャングルという雑草の上に、ひょいと頭を出したつくしのようだ。
物質的にも、精神的にも、高いものはつい見上げてしまう。
スカイツリー然り、精神的なもので言えば、地位、能力等で突出したものがある人などだ。おー、すっげぇなぁ。って。
しかし『見上げる』という事は、それは自分はその遥か下にいるということを意味する。それがいつも、少しばかり、悔しかったりするんだ。
なんて事を考え、ちょっとネガティブにブラついていると、衝撃的な光景が目に飛び込んだ。
大量の(恐らく廃材の)木が積み上げられた、銭湯だ。
この御時世に、マジか。まさか火で沸かしているのか?消防法とか大丈夫なのか?
日本の技術の結晶と言われるスカイツリーの麓に。
その光景はとてもカオスで、そして感動的だった。当たり前のように、それは共存していた。
確かに高いものは見上げてしまう。多分それは、今後も変わらない。
しかし自分の目線と同じ場所にも、すっげぇなぁと思えるものがあった。
見上げるという行為に、卑屈になりすぎていたのかもしれない。
自分と比べる必要などなく、すごいものはすごいのだ。
最先端でもOK。前時代的でも最高。
己なりの誇れるものがあるなら、それがそいつの武器であり、魅力なんだ。
まだまだ俺には武器がない。人間的にも、役者的にも。いや、ありはするだろうが、全然弱いという感じか。
その武器の刃を研いでいく事が、きっと必要なんだ。
魅力的な人間。鋭い武器を持つ人間。貴方の周りにはいますか?
幸せな事に、僕の周りはそんな人ばっかりなんだ。
チームで仲良しこよしするつもりはないが、エイトビートだってそんな魅力的なヤツばっかりなんだ。
己なりの、鋭い武器を持てるよう、刃を研ごう。
誰よりも身近にいるからこそ、誰よりもあいつらがライバルだ。
比べはしない。ただただ、己の武器を持ってバトルロワイヤル。
ひいてはそれが、良い舞台に繋がると思うんだ。