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ゼロ

隅田川の川辺が好きなんだ。

まぁあえて隅田川を目的に行く事は無いんだけど、近くで仕事があったり、用事があると、つい、足を運んでしまう。

これを書いているちょうど今も、隅田川の川辺のベンチで書いている。

夜。20時35分。

頭上をよぎる首都高速が、絶え間なく鈍い音をたてつづけている。

屋形船はほんの少し揺れている。

川沿いのビルやマンションは光り、それを水面に反射させている。

魚はいるのかな。跳ねたりしないかな。

お、屋形船が通り抜けてった。一度乗って酒飲んでみたいな。

あー。川と同じように、時間がゆっくり、流れているような気がするよ。

ステージの上で駆け抜ける時間。
今こうして川辺のベンチに座っている時間。

到底同じものとは思えんな。

舞台はたくさんの時間、ドラマ、感情が凝縮されている。まったりしたシーンも、静かなシーンも、思い返せばみんな激動だ。やってる時はそうは思わないんだけど。

何故役者をやってるの?

よく聞かれる。正直いまいち分からんよ。好きだからとしか、答えようがない。でも何が好きかと言われれば、この激動も、好きの内の一つなんだろうな。

そして激動を知るには、静を知っていなければならない。こうしてアホみたいにぼーっとして座ってるからこそ、やっぱりアレは激動なんだなと思う事が出来る。

とか、カッコつけて書いてみたけど、実は全然そんな事考えてなかったり。

ただホントにぼーっとしてるだけです。

なにかを考える事なく、考えているような時間。脳みそを手放しているような感覚。

とてもナチュラルで、フラットだ。そんな時間が、たまにある分には、たまらなく好きなのだ。

さ、そろそろ帰るか。煙草もだいぶ吸っちゃったし、お腹も結構減ってきた。

ぼーっとしながら書いたから、今回は随分中身の無いブログになっちゃったなぁ。

来週からまた激動の芝居タイムに入るから、今日は許してつかぁさい。

貴方も機会があれば、隅田川の片隅でぼーっとしてみて下さい。騙されたと思って1時間ほど。すると1時間に、貴方は気付くでしょう。

あぁ、騙されたなと。

また来週ー



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